
2018年に入ってから仮想通貨の流出や盗難といったニュースが後を絶ちませんが、これは決して今に始まったことではありません。
過去を遡ると、2014年に起きたマウントゴックス社のビットコイン盗難事件が挙げられます。
今みたいな仮想通貨バブルもブームもまだ来ていなかった頃なので、知らない人も多いかも知れませんね。
しかし、2018年以降からは本格的に仮想通貨の時代がやって来ますから、取引所からの盗難や不正アクセスのリスクに備え、過去の事例や事件をしっかりと勉強しておきましょう。
目次
GOX(ゴックス)する・したとは?
2014年2月、東京に本拠地を置くMt.Gox社(マウントゴックス)という仮想通貨取引所が、ハッカーによる不正アクセスを受け75万BTC(ビットコイン)、当時のレートで約115億円が引き出され破綻に追い込まれました。
BTCを盗んだのはあくまでハッカーの仕業とはなっていますが、社長のマルク・カルブレス氏が不正に横領したという疑念が浮上し、2015年8月に業務上横領罪等で逮捕、起訴されています。
この事件をきっかけに取引所から仮想通貨が盗まれることや、預けていた資産が消える事を「GOX(ゴックス)する・した」と呼ばれるようになりました。
事件が起きるおよそ10ヶ月前までは、世界のビットコイン取引量の70%を占めるまでに成長していた会社でしたので、預けていた人達にとってはまさに寝耳に水の出来事でした。
当時は自分の手元で仮想通貨が管理できる「ハードウェアウォレット」などの端末はまだ存在していなかったため、資産管理は完全に取引所頼み。
仮想通貨市場のインフラや法整備がきちんと進んでいなかったのも、多額のBTCを流出させてしまった原因の1つだったのかもしれません。
仮想通貨取引所が倒産すると返金はされる?
やはりこの部分が最も気になるところだと思います。
結論から言えば、2017年には判決が出て債権者の方たちに返金されることになりました。(時期は未定)
2014年に経営破綻(はたん)した仮想通貨ビットコインの取引所「マウント・ゴックス」(東京)を巡り、債権者への配当をコインで行うことが検討されている。同社の資産のうち、コインの価値は破綻時の5倍に急騰し、債権総額456億円を上回っている。企業倒産に詳しい専門家は「聞いたことがない」としている。
同社の破産管財人が今年3月に東京地裁に出した報告書では、同社の資産は現金10億円と約20万ビットコイン。コインは破綻時のレートで約120億円相当だったが、現在は約600億円相当に膨らんだ。同社の債権者として届けたのは世界で2万人超。当初は総額263兆円の債権届け出があったが、管財人が精査した結果、456億円になったという。
2014年から3年弱経ってようやく返金に至ったわけですが、当時は警視庁の捜査能力をはるかに超えていた事件でもあったため、解明されるかどうか不透明な状態でした。
「通貨なのか?どうなのか?」論争
そしてこの頃、「仮想通貨は現実の通貨と同等なのか?」という議論まで巻き起こり、当時日本の財務省は「通貨ではなくゲームコインだ!!」との判断を下しています。
また、「ゲームの中のコイン(仮想通貨)のデータが破損してしまったり、そのデータが消失してしまったからと言って国はいちいち保障などしない」という見解も。
それがわずか数年後、仮想通貨全体の価格が急騰し、貨幣としての価値が認識され始めると、掌を返したように即納税額の大きい「雑所得区分」として法律を整えてしまったのですから、なかなかズルいもんです。
そしてここまでの未来は、国ですら予想できていなかったようですね。
ちなみにマウントゴックス社は当初、トレーディングカードを売買するオンライン交換所として開設されたそうですが、気付けば何百億円単位の仮想通貨を扱う取引所に発展してしまったので、まだまだこの市場何が起こるか分かりません。
マウントゴックス社事件で得したのは?
2017年7月11日、東京地方裁判所の初公判にマイク・カルプレス氏が出廷したとき、彼は「マウントゴックス社の創設者である米国人のX氏にはめられた」と語っていたそうなのですが、一方でプログラムを不正に操作し私的にお金を使っていたとも証言しています。
・とあるソフトの販売権購入に3億円
・自宅用ベッド購入に600万円
こういった無茶苦茶やる人が内部に一人でもいると、簡単に横領したり勝手な運用を始められてしまうので、取引所の管理体制の甘さがハッキリと露呈した事件でした。
まあ、間違いなく一番得したのは当時の社長マイク・カルプレス氏でしょうね。
その他の事件・事例
2018年に入ってからも仮想通貨交換の「見なし業者」ビットステーションが、顧客から預かった仮想通貨を幹部が私的に流用していたことが判明し、金融庁が業務停止命令を出しています。
流用された仮想通貨は数百万円あまりに上ったそうですが、幸い全額弁済されているようで被害者は出ませんでした。
やはり国内であってもよく分からない取引所に資産を預けておくのは、こうした事例からも極めて危険だということが分かります。
ただ単に「手数料が安いから」「キャンペーン中だったから」といった理由で口座を開設し資金を預けてしまうと、被害に遭う可能性が高くなります。
580億円分のNEMを流出させてしまったコインチェック事件も記憶に新しいですしね。
結局コインチェックは破綻せず返金する運びにはなりましたが、返済される額が当時のレートよりも安い金額となっており、保障内容にもかなり疑問が残る内容ではありますが、いずれにしても額が大き過ぎると全額取り戻すのは困難になることは頭に入れておきましょう。
なので、もし仮想通貨を保有するのであれば、セキュリティやシステムの管理体制がしっかりしていて、金融庁からきちんと許可を得ている大手取引所のみに絞った方が、安心・安全度の高い資金管理が行えると言えます。
まとめ
今後もマウントゴックスやコインチェックのような事件が、絶対に起こらないという保証はどこにもありませんし、仮想通貨を保証する法律もまだまだ整っていませんから、最終的には「自分の資産は自分で守る」という意識で保有するしかありません。
仮想通貨取引所に口座を開設し資産を預けておく場合は、一箇所に集中させるのではなく複数の取引所に分散したり、先ほども少しお話しましたが、手元で管理できる「ハードウェアウォレット」に移すなどの対策が必要です。
全てにおいて100%安全という保障はどこにもありませんので、できる限り自分でも努力しセキュリティ面を強化するようにしましょう。