
2018年1月に中国銀行(Bank of China)が、送金システムにリップル(Ripple)の技術を採用する計画を明らかにしました。
このニュースは単に金融業界の関係者だけではなく、仮想通貨を扱っている人たちにとっても大きなインパクトとなっているようです。
今回の記事では、このニュースから見えてくる中国の狙いと、リップルの将来性や日本での取引方法などを説明していきたいと思います。
ニュース概要
従来における国際送金は、処理にかかる時間や高い手数料について利用者からの不満が多かったため、仮想通貨の登場と共にその利便性が買われて、ここ数年で一気に普及した要因の一つになりました。
こうした背景もあり、リップルのネットワークを活用した送金が実装されることになれば、時間と費用の両方で劇的な変化が起きる可能性が高いと言えます。
さらにこのニュースが世界に衝撃を与えたのは、中国国内の四大銀行(ビッグ・フォー)の一つであり、かつ世界第5位の総資産額を保有している中国銀行が主体となっているという点です。
世界のお金の流れに対して質的・技術的な面だけでなく、量的・規模的なことからも大きな影響を与えるニュースというわけです。
中国の狙いと動向
「でも中国って確か仮想通貨を規制してなかった?」というニュースが記憶に新しいかと思いますが、確かに中国は段階的に規制を強めてきており、2017年には取引所の閉鎖も発生しています。
ただそれは、金融当局が制御不能な通貨を排除したいからなんです。
昔から自国通貨(人民元)への信頼が低いお国柄でもあり、ともすると国外への資金流出の傾向があるため、海外と関わる取引には色々と制限が存在していました。
その延長線上にあるのが、「コントロール困難な仮想通貨」の規制だと考えられます。
ここで大事なのは金融当局としては「仮想通貨」がダメという発想ではないということ。
コントロール可能な仮想通貨ならば、むしろ中国の金融当局自身が積極的に支援すれば、世界マネーの流れをリードできる可能性すら見えてくるのです。
その一つが今回のリップルだと考えると、「仮想通貨の規制」と「仮想通貨技術の活用」という2つの出来事はコインの裏表であり、一続きに繋がっているとも言えます。
リップル(XRP)とは?
今回採用されたリップル(XRP)は何なのか?ということで、技術的な面にも少しだけ触れながら、社会へ与えるインパクトを見ていきましょう。
仮想通貨としてのリップルは「XRP」と表記されます。
これはリップルの通貨単位または通貨としての「リップルコイン」を表します。
仮想通貨取引量としては、ビットコイン(BTH)、イーサリアム(ETH)に次いで第3位です。
そしてシステム全体のことを指して「リップル」と呼び、リップルを保有する人を「リップラー」と言います。
次に特徴です。
まずリップルコインは「管理者がいる仮想通貨である」ということがポイントです。
ビットコインなどはマイニング(採掘)という方法(取引帳簿の計算処理)により、通貨を獲得する仕組みを持っており、国家や特定の機関によって管理されていません。
それに対してリップルは、リップル社で発行や管理を行なっています。
そして非常に大雑把な説明にはなりますが、金銭取引や送金においてリップルを利用するとは、ビットコイン等とは異なり、仮想通貨自体が移動するのではなく、リップルというシステムを利用して現物通貨を移動させることを意味します。
例えば、ビットコイン等の海外送金を例に挙げると、
換金(日本円→ビットコイン)→ ビットコインを送金 →換金(ビットコイン→米ドル)
といった具合に、実際に使用できる現地通貨への換金の手間がかかります。
しかしリップルで送金する場合は、
日本円 → リップルコイン → 米ドル
というシンプルな取引で済んでしまいます。
さらに比較対象として従来型の銀行システムによる海外送金を見ると、手数料が送金額の約20%も掛かってしまう上に、即日処理どころか1週間程度要することもあるので、ただただ手間と手数料が掛かってしまいとても不便でした。
そこでリップルのシステムを利用すると、送金にかかる手数料の総額を大幅に軽減させることができますし、また手順自体が少ないこともあり、即時とも言えるような迅速な取引を行うことが可能だという風に考えられています。
実際に、三井住友銀行やりそな銀行などを始めとする日本の金融機関と、韓国の大手銀行との間ではリップルを使った送金実験(2017年12月〜2018年1月)が実施されています。
他にも金融大手のSBIホールディングスがJCB、三井住友カードなど複数の大手カード会社と組み、リップルを利用することでブロックチェーン技術の活用を目指す、企業連合体を設立しています。
また、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行が、ブロックチェーン技術の実証実験にリップルを採用しました。
このような事例からもリップルが銀行間送金において、実用化段階に入りつつあることが伺えます。
「3秒以内に完了するリップルのような仮想通貨を使用することで、クライアントは情報と同じ速度で資金を動かす事が可能である。リップルは、国境を越えた支払いにある非効率性や問題を解決することに重点を置いている」と、リップルCEO(最高経営責任者)であるブラッド・ガーリンハウス氏のコメントも頷けます。
リップルの将来性は?
社会全体へ影響を与える可能性が高いリップルの技術やシステムですが、仮想通貨としての1リップルコイン(XRP)の価値もまた暴騰してきています。
2017年1月には0.6円程度でしたが、1年後の2018年1月には300円を超えてきました。
この時はリップルが世界最大の取引所の1つ、Coinbaceに上場するという情報が流れたため価格が一時暴騰しましたが、結局上場はしなかったのでその後暴落。
とはいえ、実用性満載の仮想通貨であることは間違いありませんので、現時点の投資先としては非常に有望であると言えます。
リップルコインが購入できる国内取引所
ここまでリップルが世界に与える影響や将来性について簡単に触れてきましたが、ビットコインやイーサリアムに次ぐ将来性の高い仮想通貨ですから、当然保有したいという方もいると思います。
ということで、国内でリップルを購入できる取引所を紹介していきます。
現時点で取り扱いのある国内の取引所は全部で6社ですが、その中に「コインチェック」も含まれているので実質的に5社と考えてください。
「GMOコイン」「ビットバンク(bitbank)」「DMMビットコイン(bitcoin)」「ビットトレード(BitTrade)」「コインエクスチェンジ(QUOINEX)」「コインチェック(Coincheck)」です。
最大手と言われるビットフライヤー(bitflyer)や、取引手数料の安いザイフ(Zaif)では取り扱いがないため、国内の取引所でリップルが欲しい場合は上記のいずれかで口座を開くと、購入することが可能です。
これら5社の内オススメの取引所は、運用の仕方によっても変わってきます。
レバレッジ取引(いわゆるFX取引)を希望する場合は、DMMビットコインかGMOコインまたはザイフ(Zaif)。
手数料を抑えたいということであれば、2018/6/30日まで取引手数料0円のビットバンクが一押しです。
まとめ
仮想通貨の取引を制限してきた中国において、大手銀行がリップルの技術を国際送金に利用すると発表しましたが、それでもまだリップルの価格は上昇方向へは向いていません。
しかし、今後報道されている事実に進展するならば、リップルが当初から目標としている国際送金システムにおいて、相当優位なポジションを実現できることになります。
それに伴い仮想通貨としてのリップルコインの人気も、今より格段に高くなっていくのは間違いないでしょう。
但し、計画のペースが思ったよりも遅ければ期待先行で上昇し過ぎたと見なされ、価格が下がるということも十分ありえますので、今後発表される各情報機関などを継続的にフォローし、リサーチしていくのが成功への近道と言えますね。